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三澤康彦さんのこと

建築家の三澤康彦さんが5月に急逝されて先日、千里にてのお別れ会に参列してきました。
独自の民家型構法を確立され国産材の材料使いにも長けており、国内のどこにどんな材料があるかを知り尽くしていた方でした。
バタ臭くなりがちな木視率 (室内表面に現れている木の割合) の高い建物をモダンに魅せる手法は中々真似が出来ませんでした。
材種の選択、寸法のバランス、インテリアのセレクトの良さだったと思います。

今でこそ誰もが性能を謳っていますがデザイン重視、性能は二の次の設計が蔓延っていた時代にあって耐震、温熱、防火においても重視をされた設計をされていました。

思えば初めてお会いした時から10年前後になると思います。
とある会で産地の視察旅行のでMOK大阪の『行列が出来る工務店』として講演依頼を受けて6年前にお話をさせて頂きました。(行列は殆どありませんが・・・・笑)
その講演がきっかけとなり現在の関西方面とのおおきな繋がり、人脈が出来て仕事にいかせています。

康彦さん設計の建築工事を請負ようなご縁がありませんでしたが鳥取県のイベントにおいて西新宿のパークタワー1階ホールへの設営と室内の家具作りを依頼されました。
東日本大震災の311の3日後に予定をされていたこのイベント
東京の状況がわからずやる気満々だった康彦さんに東京は意気消沈して灯が消えたようだと伝え延期を要請したのは私でした。
そして7月末の再開も翌日の展示に追われる作業
早朝7時前からスタートしてビルが閉まる11時近くまで掛かった多くの仕事量でしたが無事に終えられた達成感で高揚してその日は眠る事が出来ませんでした。
現在は胡桃山荘として懇意にしている北沢建築の社屋の隣にあります。
胡桃山荘のオープン時のご招待へのお礼としてお送りした大谷芍薬園の芍薬をお気に召して頂き、ご自身で贈答用に使われていると知って嬉しく思っています。

最後にお会いしたのが3月の岐阜の銘木市でした。
市場では花梨と欅を狙っている私に田中さん、それ狙ってるなら僕は買わんでおこう・・・(笑)
木に関しては好のみがよく似とるからね~と
確かに金沢での銘木販売でも競い合ったことを思い出しました。


岐阜の夜の食事会でのこと
田中さんブログのようにモノづくりの姿勢をこれでもかと訴えている所、それがいいよ 自分も同じだと
言ってくださいました。
まさか康彦さんが見てくださっていたとは思いもしませんでしたが正直嬉しかった。
そしてその夜が最後になってしまいました。

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お別れ会は450名を超える多くの
方が参列されました。

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Ms出身の弟子でもある家具作家の
大橋朋晃さんの手による仏壇

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康彦さんがお好きだった言う
チェリーとブラックウォール
ナット材による上質な物でした。
 

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初めて訪問しました。
千里のMsの事務所

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康彦さんのデスク
仕事そのままで残っていた手書きの
トレペに矩計がありました。

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思いでの『鳥取みどりの力』
8角の棟木を10人ががりで
あげています。

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ここが一番の山場でしたがこの時点で
進捗6割で多くの作業が残っていました。
この後の化粧垂木に吊りバルコニー
内部家具などが大変でした。


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展示ブースも手抜き無しでしっかりと
つくりました。
完成は11時近くパークタワービルのクローズ
20分前でした。

康彦さんの残したMs流設計術の基盤は奥様である
三澤文子さん、多くの弟子達が引き継いでくれると
思います。


ご冥福をお祈りします。





by tanaka-kinoie | 2017-06-19 11:10 | 建築、仕事 | Trackback | Comments(0)
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