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屋根の改修工事

他社施工のお家での改修工事の依頼もよくあります。
簡単な物もあれば難易度の高い物など様々ですが当時の施工会社からは工事はしたけどメンテナンスは
遠いからと断られてのご相談が殆どです。
たいてい設計事務所の設計で施工のみを工務店が請け負った場合
設計と施工の分離が悪い訳ではありませんが設計施工よりも施工者との関係が希薄な感じがします。

改修の場合は雨漏れや腐朽、施工の悪さなどの後始末的な内容も多いのでお仕事をお引き受けするかどうかも慎重になります。
雨漏れに対しての相談では納まりが煩雑で修補が大掛かりになり工事費の目論見にも無理がある場合などはお断りする事もよくあります。
一例ですが建築家デザインで屋根をガラスと木材を組んだ現場づくりの天窓の修繕依頼がありました。
元々もコーキング頼りの納まりで同じようにしか直せない場合は後々の責任も怖くて負えません。
天窓を使用する案を提案しましたが却下されました。
その物件は見た目は素敵なのですがガラス1枚での納まりが中々スリリングです。
一度こちらで手を付けてしまえばそこからの責任はこちらに生じでしまいます。
屋根を壊す、窓を交換するまでの事までしないと補修程度では責任は負えません。

さて最近終わったOMソーラーの屋根の改修です。
当時の施工工務店は城西地区でメンテナンスを行わないとの事で数年前から改修工事を行っていました。
今回は微量ですが屋根が雨漏れをしており調査の結果、屋根の施工不良が見受けられたのでOMの集熱屋根というやっかいな
部分ですが大人数乗り込み10日程度で終わらせることが出来ました。
最近のガルバリウム鋼板は表面塗装の耐久性も高いので今度は30年は十分持つと思います。

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まずは既存の屋根の剝がしから築20年ガルバリウム鋼板
は多少の褪色が見られる物の素材自体の腐朽劣化などは
ありませんでした。
施工不良が無ければまだこのままで行けたかもしれません。

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瓦棒葺きと言われる板金のスタンダードな葺き方です。
板金を撤去してもここは内部の木材の腐朽は見られま
せんでした。
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その下のOM集熱ガラス面の下部では芯木と言われる
木材の腐朽が見られました。
この上は散水試験時に怪しいと思った場所で想定通りで
施工不良も見つけました。
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その他には屋根側面のケラバ側にも腐朽が見られました。
これも漏水によるものだと思われます。
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古いアスフェルト系の防水紙は見た目は問題ありません
でしたが納まりの悪さで漏水を防ぐことが出来なかった
ようです。

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透湿防水シートに交換です。このタイベックの物は上記に
アスファルト系の物と比べれば価格は数倍しますが止水するだけでなく透湿効果もあって下地ベニヤの蒸れを防ぎ、
耐久性も優れています。
屋根の改修工事_c0019551_15565005.jpg屋根通気+OMの集熱空気を通す為に下地木材ビス留めするので止水処置に防水テープを貼っています。
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黒いのは樹脂の下地材です。
腐りやすい部位なので弊社では樹脂とアルミの複合材を
使っています。
板金の釘も緩みにくい利点もあります。
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これが問題の瓦棒のどぶといわれる板金
これを8mの長さ1枚で施工するのは至難の業
屋根の上でコイルから成型して長尺施工を可能
としました。
ここまで長さを取るのは難しいのですがここが要です。
これが出来なかった為にジョイントをつくりそのジョイントの板金技術は悪く雨漏りした経緯がありますのでここは
意地でも1枚物として施工しました。
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成形機から送り出され曲げられたガルバリウム鋼板です。
5人がかりでした。
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長過ぎて数人掛かりでの敷き込みです。
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右側に成型機とコイルが見えます。
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16枚の敷き込みが終わりました。
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先端のデザイン的な加工
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このどぶの両端にカッパと言われるコの字型の
板金を被せます。先端はシャープに見せる為に
テーパーを付けています。
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屋根が葺き終わりました。
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OMの集熱ガラスを施工中
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屋根の上部の棟板金も終わりました。
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完成しました。
建築歴30年以上で住宅でここまで長い屋根の経験は数軒です。
これも板金屋さんと大工達の施工技術の賜物です。


















by tanaka-kinoie | 2022-03-13 15:23 | 建築、仕事 | Trackback | Comments(0)
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